第6章 ムラサキ(3)

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   …ここからどうすればいいんだろう。一応見舞いという目的は達成…したのかな?色々聞きたいことがあるのだが…紫は両親に事の顛末というか、詳しいことを話したのだろうか?  私が迷っていると 「あの、お父さん、お母さん。ちょっと…花崎さんと二人にしてくれない?」  と紫が言った。よかった。紫の方から切り出してくれた。  しかし紫の言葉を受けて二人が退室しても紫は何も言いださなかった。これは私から切り出すべきだな。私はそう判断した。 「あ、あの、さ。両親には詳しいこと話したの?」 「……うん。今の…亮くんと付き合ってて、それで暴力振るわれて怪我してしまったってこと話したわ」  まだあいつと付き合っていたのか!?私は一瞬驚いてしまったが、表情に出さないようにしてまた尋ねた。 「いつからまた付き合いだしたの?」 「そうね……別れてから一週間も経たなかったくらいかな。別れた後メールが毎日来てて住んでる家にも何回か来てた。そのたびに追い返してたけど……あんまり必死に謝ってくるからつい許しちゃってさ……」  私の問いになんだか投げやりなような雰囲気で紫が答えた。  つい?ついで許せるものか?あれだけ傷つけられておきながら?紫のことが理解できなかった。どう考えても嫌がっていたじゃないか。なのになんでまた付き合いだしたの?  私の疑問が顔に出ていたのだろう。紫は愛想笑いを浮かべた。 「なんかごめんね。心配かけちゃって。亮くん必死に謝ってきてたし、これ以上拒んだらもっとひどいことされそうで怖くて……。亮くんとは本当に完全に別れると思う。警察にも私に付きまとわないよう厳重注意されたってお父さんから聞いたし。もう大丈夫だよ」  紫が色々言っているが、私はまだ納得できていなかった。勤めて冷静になるように自分に言い聞かせ、自分の感情を殺し、再び紫に尋ねた。 「…なんで相談してくれなかったの?私言ったじゃん。何かあったら相談してよって」  …だめだ。少し責めるような口調になってしまった。紫を問い詰めたいわけじゃないのに……。  私の言葉に紫は表情をこわばらせてうつむいた。 「相談できなかったの。これ以上迷惑かけたくなくて」 「迷惑なんて、そんな……。私はそんなこと思わないよ」  私は明るく笑ってそう言おうとしたが少し笑顔がこわばってしまった。具体的にはわからないが、何かよくない雰囲気の会話になってきた気がする。 「Fleurでも言ったじゃん。お互い助け合おうって。私たち…友達じゃん」  その私の一言が決定打になってしまったようだ。紫が目に涙を浮かべながらキッと私の方を見てきた。 「違うの!!そうじゃないの!!」  紫が大きな声をあげて私は一瞬ビクッとした。紫が大声を出すことなんて今までなかった。外ではいつの間にか雨が降り始めていた。
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