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第6章 ムラサキ(4)
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「なるほど。そんなことがあったのですね…。あの、大丈夫ですか?」
「……はい。大丈夫です…」
二日後。私はカフェFleurで緑川と話していた。私はカウンターに突っ伏して緑川の問いに元気なく答えた。
今日は警察に呼ばれてトリカブトの事件の事情説明や実況見分などをやっていた。もう何回目かの説明にはかなりうんざりした。立木が「お疲れさん」と言って缶コーヒーをおごってくれた。
あれから石川里美さんは正式に逮捕されたらしい。これから調書作って検察とも連絡とって、と立木は忙しくなるらしい。不満を緑川にぶつけて仕事に戻っていった。その帰り、緑川の車に一緒に乗り(私は電車で来ていた)、Fleurに寄って休んで行こうと思ったわけだ。ついでにこのまま家まで車で送ってくれないかな、とか下心もあったりする。
ちなみに今日は定休日なので、店は閉めてあり、二人でダラダラしゃべっている状況だ。
私は体を起こし、緑川の淹れてくれたカフェラテを一口飲んだ。うまい。牛乳のクリーミーな感じが疲れた心にしみる。
「うーん。少し不安だったんですよね、紫さん。嫌な予感が的中したわけですか…」
「え?店長、こうなるかもしれないって思ってたんですか?」
「さすがにここまでの事態になるとは思っていませんでしたが。紫さんは気の弱い部分があったようですからね。遠慮してしまって抱え込んでしまうかも、とかは思っていました」
そんな心配があったのなら早く話してくれればよかったのに…。
「なんで言わなかったんですか。言ってくれたら私だって……」
「そう言えば花崎さん、もっと紫さんに干渉しようとするでしょう?人によっては鬱陶しいと思われますよ?ちなみに花崎さん、紫さんの彼氏と別れさせた時の様子を詳しく聞かせてもらってもいいですか?」
そう言われて私は思い出すだけでもむかつく佐原亮のことを話した。
「なるほど。だいぶ乱暴なやり方になってしまいましたね…。そういうのは逆効果のことがあります。相手が逆上するとか、大事にしたくないからとなぁなぁで済ます、とかいうことになりかねません」
「うっ……。はい。すみません…。紫を傷つけてるかと思ったら怒りが収まらなくて、つい…」
あの後ちょっと言いすぎてしまったかなとか思ったが、女に暴力をふるう男にはあれくらいの強気で接した方がいいとか開き直ったりしていた。しかし緑川の言う通りまずいやり方になってしまったようだ。
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