第7章 ヒガンバナ(2)

4/4
前へ
/177ページ
次へ
************** 「うん、おいしい」 「ほんと!すごくおいしいです」 「ありがとうございます」  両親の誉め言葉にあの微妙に心がこもってない返しをする緑川。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」  再び沈黙が舞い落ちる。何か話題ないかな。そう思って辺りを見ると、レジの隅に真っ赤な花が飾ってあるのが見えた。 「あ!ヒガンバナ!」 「え?あ、そうね」 「本当だ。きれいですね」 「ありがとうございます。この間散歩していたら見つけましてね。花…香織さんのこともあったし見栄えもするかなと思って飾ったんですが…窓際とかに置いた方がいいですかね」  緑川がそう答える。ん?私のこと? 「どういうことですか?店長。私のことって」 「ん?あぁ、いや…だって、ほら。四十九日…だったんでしょ?昨日」 「「「!」」」  私たち家族三人は声を出さずに驚いてしまった。  そう。昨日は良介の四十九日だったのだ。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加