第8章 ススキ・ヨモギ(1)

2/2
前へ
/177ページ
次へ
 そんなことを考えているうちに話は進む。 「いいですよ、立木さんも来ても」 「サンキュ」  日下の返事に立木が笑った。 「えーととりあえず用意するのは酒と団子かな……団子は作るのもありだよな…」 「そういえばこの店のどこで月見やるんですか?庭とか?」 「ウッドデッキがあるのでそこでやるのがいいかと」  私の問いに緑川が私用の口調で答えた。  …切り替えしててバグらないのかな?いつか私にもフランクに話しかけて自爆しそうな気がする。…見てみたい。 「そうだな、あそこでやろう」 「いや~楽しみだなぁ」  日下が賛同して立木が伸びをした。ナポリタンは食べ終わったようだ。 「立木さんも手伝ってくださいよ?」  緑川が立木に軽くジト目を向けると彼は手をヒラヒラさせた。 「へいへい。ごちそうさん。んじゃ俺はこれで。予定決まったら連絡してくれ」  そう言って立木は代金を払い、店を出て行った。 「ありがとうございました」  私は挨拶をし、緑川は軽く会釈した。私が食器を下げていると緑川と日下の話が聞こえてきた。 「そういえばお前さっき団子作るとか言ってたが…自分で作るのか?」 「団子くらいなら簡単に作れるだろ?いっぱい食べたいし。樹も作るの手伝ってくれね?」 「あぁいいよ。ちょうど試したいものもあるし」 「さっすが♪」 「酒は立木さんにでも用意させるか。各自の要望伝えればいいよな?」 「いいんじゃね?それで」  なんかどんどん話まとまっていくな。大学生みたいなノリだ。緑川は(繁盛してない)カフェの店主。日下はバイトを掛け持ちするフリーター。立木は刑事だがかなり大雑把な性格。自由人が多いからこんなんになるんだろうな…。  このノリになぜか現役大学生の私が乗れていない。大学生らしく乗ってみよう。 「それ、他にも人呼んでいいですよね?」
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加