第8章 ススキ・ヨモギ(4)

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**************  そんなこんなで乾杯から約一時間半後。    時刻は午後十一時半。蓮乃愛ちゃんは約束通り十一時にご両親が迎えに来て帰ってしまった。あんなにあった団子もいつの間にかなくなり、あたりにはポテチやするめなどのつまみが広げられていた。 「ふぅ。さすがに腹いっぱいだ」    緑川が独り言をつぶやいた。今日も白シャツと黒いズボンというシンプルな服装だが、暑いのか胸元を大きく開けている。インナーシャツがあるが、鎖骨の部分とかが色っぽい。顔も赤くなっている。…中々に刺激が強い。日本酒を飲んでいたようだが、弱くもなく、強くもなく、普通といった感じだ。酔ってる姿も普通の人のそれと変わらない気がする。とことん予想できないなぁ、この人、と私は鈍い頭でそう思った。 「あの……大丈夫ですか?花崎さん」  ジッと緑川を見ていると本人がそう聞いてきた。 「何がですかー?」 「いや、大分酔っているようですが……」 「そんなことないですよー。いつも通りじゃないですかぁ!」 「うーん…そんなことないと思いますが…」  緑川は首をかしげながら答えた。まぁ確かに酔ってないとは言わないが、そこまで酔ってるだろうか?後ろから紫に抱きついている私は肩越しに紫に聞いてみた。 「ねぇ紫ぃ~。私いつもと違うかなぁ?」 「…まぁ結構酔ってると思うけど…かわいいからいいと思う」 「紫ぃぃ~!かわいい!大好きぃ!」  私は紫にほおずりした。なんかいい匂いする。なんかいつもより紫がかわいく見える。アルコールのせいで顔が赤くなって、目がうるんでいるからだろうか。 「は、花崎さん!そ、そんな…で、でもかわいい…」  紫の顔が一層赤くなった。 「うへへへへ…」    ……うん、確かに結構酔ってるかも。でも気分いいから何でもいいや。そんな開放的な思考になった私はしばらく紫にべたべた絡んでいた。
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