麗しのオディール

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 それから何年も経って、社交界に出る度に、年を経てうつくしさが衰えるどころかますますうつくしくなると話題になった。他の地域から私をひと目見たいとやってくる男もいるほどだ。 「麗しの黒鳥、どうか私と」 「麗しの黒鳥、どうか私に」  男達が私を巡って争う。女達は私にへつらう。もう私を馬鹿にするやつなんてひとりもいなかった。  そうしているうちに、近隣の村から少女がいなくなったので、遠くの村や町から貧しい少女を買うようになった。  遠くの村や町に住んでいる少女やその親は、この近辺で少女がいなくなっていることを知らない。だから、なにも疑問を持たずにお金と引き換えに少女を私に差し出した。  血を絞るための、内側に棘の付いた籠に少女を入れ、その血を浴びる。あたたかい血を浴びると心が安らいだ。  ずっとそれを繰り返した。どんなに年を経ても私は老いることなく、若々しいままただただうつくしくなっていった。  今日も少女の血を浴びようと、使用人に買ってこさせた何人かの少女の中からひとりを選び、専用のバスルームへと連れて行く。  今日選んだのは、今回連れてこられた中でもひときわ純朴で、清楚に見える少女だ。この子はずいぶんと背が高いから、さぞかしたくさんの血が採れるだろう。  怯えた顔をする娘をいつものように棘の付いた籠の中に入れようとすると、突然その娘は聞き慣れない言葉を叫び、光りに包まれた。  なにごとかと思っていると、その娘は光の剣を持った天使へと姿を変えていた。  なるほど、ついに天使が神の裁きを私に下しに来たのか。  でも、そんなことはなんてことはない。天使なんて殺してしまえばいいだけのことだ。  天使が光の剣を振るう。私は咄嗟にその剣を手で受け止める。すると、手が焼けるように痛んだ。  私のこのうつくしい体に傷を付けるなんて、とんでもないことだ。  絶対にこの天使を許さない。絶対にこの手で殺して、その地を浴びてやる。  私は、私が手に入れたこのうつくしさを、絶対に手放したりなんかはしない。
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