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「違うんだっっ!!家族としてだけじゃなくてっっ!!
人として、一人の男として、聡太さんのこと、、。」
俺は驚きすぎて、目を大きく見開いた。それを見た光都くんは眉毛を下げ、唇を噛み締めて、目に涙を浮かべている。
「ごめんなさい、、。俺、恋愛の意味で好きに、、大好きになっちゃったんだっっ!!」
ポロポロと涙を流しながら俺をしっかりと見つめてくれる光都くん。
俺は、俯いた。
どうしよう。そんなこと考えてもみなかった。
俺は、篤人をもう想ってはいないけれど
この10年間は光都くんのことだけを考えてきた。恋愛なんて、もうすることはないと思ってた。
だけど、まっすぐ見つめる光都くん、ストレートに伝えられる気持ちに心臓がバクバクと暴れだした。
「俺、篤人さんの子供じゃないけど、きっと俺がいることで辛かったことがあったと思うんだ。だけど、見捨てないでくれた。まだ、篤人さんのこと好き?
なら、顔は似てないけど、、でも俺を替わりにしたって、、いいんだ。」
いいわけないだろ。
俺は咄嗟に、光都君の手を握り顔を挙げた。
「光都くん。光都くんの気持ちに正直驚いてる。
戸惑いもあるし、どうしていいか分からない。
でも、一つ言えるのはね。俺はもう篤人のことは好きじゃないってことだ。」
ふっと、光都くんの肩の力が抜けるのがわかった。
「だけど、恋愛の意味で光都くんのことを好きになるかは分からない。だからね、光都くん。
少し、時間をくれない?」
俺は、今できる精一杯の言葉を伝えたい。
そう思ったんだ。
「い、、いいのか?」
子供の頃のような、不安で仕方ないという目でこちらを見てくる。なんて可愛いんだろう。
「うん。だからね、光都くんのこと好きにさせてみてよ。」
俺は、光都くんの目をじっと見つめ、言い終わるとふっと微笑んだ。
光都くんは、顔を真っ赤に染めて、その顔を手で隠した。
「っっんとに、、。ずるくない?聡太さん。」
なんだか、その反応に嬉しくなる。
「なにが?それより、しばらく会えないんでしょ?学校で。最後に、俺の作ったご飯食べてよ。」
うん、と光都くんは頷き満面の笑みを見せてくれた。
俺がキッチンに行こうとすると、ぐっと腕を引かれた。
わっと驚いている間に、俺は光都くんの腕の中にすっぽりとはまる。
「ありがとう。聡太さん。これからは、どんどん攻めてくからよろしくな。」
そう言われた俺の心臓は、驚くほどバクバク言っていたし顔だって湯気がでるほど熱かった。
そんな俺の様子をみた、光都くんが嬉しそうな顔をしていたことを俺は知らない。
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