14人が本棚に入れています
本棚に追加
寂しい、、と思う
あの日から一週間後。
光都くんは一人暮らしを始めた。
「ただいまぁー。光都くん、、っじゃなかった。
もういないんだった。」
こんなことをずっと続けている俺は多分アホなんだと思う。
篤人と別れたあと、俺は光都くんとずっと一緒に生きてきた。
俺は久しぶりにたった一人で家に帰ってくる。
そんな日々に寂しさが募っていく。
「あーあ。俺、めっちゃ寂しいなぁ。」
ぽつんとつぶやく俺の声が家に響いて
なんとも言えない、孤独を感じていた。
ピンポーン
そんな部屋に鳴り響くインターフォンに
誰だよ、と悪態を付きながら玄関まで歩く。
「はーい。」
「よぉ、聡太さん。久しぶり、、。」
え、光都くん、、。
どうしたんだろう、なにかあったとか?
と脳内で同様しているうちに心配した光都くんが
俺の顔を覗き込んだ。
「どうした?体調悪いのか?」
「う、ううん!ただ、なにかあったんだろうかって
考えちゃって、、。」
「なんにもねぇけど、、。帰ってきちゃだめだった?」
くっっ、、、!
かわいい、、。俺よりでかいのに、かわいい。
ずっと一緒に暮らしてたし、俺が育てたようなもんだからか、光都くんへの愛情は人一倍強い自信があった。
そんな彼に俺は告白されたし、好きにさせてみろって言った。なんでだろうな、、。
同情とも違う、子供扱いしてるわけでもない、もちろんずっと好きだったとかでもない。
ただ、好きになっちゃったんだと言った時の光都くんの表情があまりにも、切なくて、苦しくて
俺は胸を鷲掴みにされたような痛みを感じた。
光都くんにはあの笑顔で笑っていてほしいと思った。
「だめなわけないっ!!お帰り、光都くん。」
俺はお帰りと、光都くんに言えることの幸せを感じた。
「おう、ただいま。聡太さん、俺、一人暮らししてから
毎日聡太さんのこと思い出して寂しくなる。好き。」
「へっ?」
まってまって!何いってんの!
「俺さ、今まで聡太さんと一緒に暮らしてたでしょ?
だから、帰ってから誰もいない部屋が寂しくてさ。」
それ、、。俺と一緒。
「うん。分かるよ。俺も同じ。」
光都くんの存在の大きさを改めて実感する。
「ま、まじっ!?一緒、、?
あーーー。めっちゃ嬉しい。」
今はまだ同じ好きじゃないけど
光都を好きになれたらいいな。
自分を好きと言ってくれる光都くんを。
「ねぇ、聡太さん。」
なに?と言い終わる前に、俺の視界は真っ暗になった。
俺の身体が温かいものに包まれたような感覚になる。
俺は今、光都くんの腕の中だ。
「あぁ、、。聡太さんの匂いだ。
聡太さんがいる。嬉しい」
俺の背中と頭を優しく、でもがっちりと抱き込み
俺に抱きつく光都くんに、俺の心臓が暴れる。
「ちょ、ちょっと!なに!
ばかっ!」
おれは、15秒後くらいしてから
やっと反応できたのだ。
真っ赤な顔で。
最初のコメントを投稿しよう!