別の誰かに、お前は、、

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別の誰かに、お前は、、

年前のあの日から、俺は毎月10万円ずつお金を振り込んでいる。あの時の子供はもう10歳になったはずだ。 きっと篤人は気づかれていないと思っているだろう。 「おい、聡太。聞いてんの?」 「あ、うん。じゃあ先に寝るね?おやすみなさい」 僕は笑みを浮かべながら返事をした。 僕はいつも寝たふりをして一晩を過ごしている。 数年前から、僕は夜に寝ることができないでいる。 篤人は気づいてくれない。いくら顔色が悪くても、体調が悪くても、気づかないように隠してきたから。 実は、篤人の子供である光都くんとあの女の人と3人で写った写真が数年前から週3の頻度で送られてくるようになった。 僕には、めったに見せてくれなくなった笑顔 僕には触れてくれない彼の手が、あの女の人の肩を掴んでいる。 それがショックだった。 思っていた異常にだ。 そして極めつけは、毎晩僕が寝たあと(篤人がそう思ってだけ)に始まる行為。 『もしもし、愛理。聡太は寝たよ。』 『あぁ。今日は会えないからな、、、電話で我慢してくれ』 電話越しに、会話を始める。スピーカーにしているようで、聞こえてくる。 俺たちは別室で寝ているため、篤人は聞こえていないと思っているが家は壁が薄いから、声は聞こえてくる。 それに、俺も気になってしまって壁に耳をつけているから余計に聞こえる。 『愛理、さぁ今日もえっちな事をしよう。』 そうして、毎日のように始まる電話でのセックス。 挿れることはないけど、これは愛の行為だ。 俺ではない、愛理という女との。 最初はそれはショックだったさ。けど、、俺に向かってではなくても せつなそうな声、俺は一度しか聞けなかった気持ちよさそうな声、甘いセリフに声。 それを聴けるだけでよかった。まるで、自分に言われているかのように錯覚し、俺は自分のものに手を伸ばす。 「ふっ、、あっ、、きもちぃ、、」 想像の中と篤人に抱いてもらう。 手は止まらない。自分の声は壁の向こうに伝わらないように押し殺す。 「っっ、、ふっ、あっ、、あつとぉ、、」 俺はいつも、篤人の名前をよびながら達する。 そして呟くんだ。 『篤人、ごめんね。嫌いになれなくてごめん。』 そう思うんだよ。俺はお前に捨てられるのをずっと待ってるんだ。 だって、自分じゃ諦められないから。
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