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光都くんがみた光景
「お、おれ、、っ。見たんだっっ!か、母さんと父さんが裸でベッドにいるの、、。母さんは変な声っだ、だひてるし、と、父さんはこ、怖かった、、!それで、おれ、おれ怖くて、、っっ。声が聞こえなくなるまで、寝室から一番遠くの隅で毛布のなかに隠れた。」
子供かいるにも関わらず、するなんて信じられない。
怖かっただろう。見たくなかっただろう。
子供にとって、お母さんがお母さんではないただの女性であることを見るというのは、かなりの衝撃だろう。
俺は抱きしめる力を緩め、光都くんの頭をなでる。
すると、安心したのか頬のこわばりがとれた。
「お、お兄ちゃん?俺ね、その後、またその寝室の前に行ったんだ。そしたら、父さんと母さんがお金の話ししてたんだ。」
「え?」
「毎月10万円も払ってくてありがたいって。
ちょろいって、あなたのこと好きなのね、ほんと可哀想な彼って笑ってた。俺はなんのことが分かんなくて
父さんたちがいない間に、お金の封筒を見つけたんだ。
そこにここが書いてあって、タクシーで来た。」
俺はショックだった。
篤人は知ってたんだ。俺が毎月お金を払っていること。
子供の存在を俺が知ってること。俺が篤人を好きってこと。もしかして、電話をスピーカーにして行為をするのはわざと?
「は、ははっ。そっか、、。なーんだ。」
笑えてきた。ほんとに僕って馬鹿だ。
「それで、俺、お兄ちゃんに会いに来たんだ。
お、お礼言いたくて。嫌だったよね、なのにお金ありがとうっっ。うっ、、お金、、なかったら、俺っ。。。」
まだ10歳のこの子になんてことを背負わせてるんだろう。嫌だったよね、なんて言葉俺にはもったいないよ。
「光都くん。こちらこそありがとう、伝えに来てくれて。僕ね、篤人くんとお母さんを引き離したひどい奴なんだ。光都くんがいること、彼女がいること知ってても好きだったから離れられなかった。ごめんね、ほんとにごめんなさい。それでも、僕の払ってるお金が君のためになっていたなら、とてもとても嬉しい。」
僕の気持ちを伝えた。そのうえで
「光都くん。光都くんもしんどかったね。よく頑張ったね。痛かったね、悲しかったね、寂しかったね。
よく、我慢したね。もうわ我慢はいらないよ。」
そう伝えると、光都くんは大きな目に涙をためて
小さな声で静かに泣いた。その姿は切なかった。
僕は決めた。
「ねぇ、光都くん。僕と暮らしませんか?
お兄ちゃんも、もう疲れちゃったし二人で休まない?」
といたずらっぽい笑顔をみせてみた。
キョトンとした顔だったが、すぐに笑顔を浮かべ
「うんっ!」と返事をした。
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