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しかし、五年の月日は流れ、約束の日が訪れた。結局翼は五年間一度も日本に帰れなかった。だから、この日は翼にとって本当に久しぶりの帰省だった。楽しみな気持ちもあったが、もちろん不安でいっぱいだった。凛と交わした五年も前の約束。覚えているかもわからない。それに、もしかしたら、凛にはもう新しい彼氏がいるかもしれない。一度も日本へ帰ってこなかったことを怒っているかもしれない。今まで一度も連絡がつかなかったこともやはり気になる。翼は不安を抱えながらも約束の場所へ向かった。凛が早く来てしまってもいいように、朝早くから桜の木の下で待っていた。本当は来てくれる自信なんてなかったけど、翼は最後まで凛のことを信じていたかった。しかし、夜を迎え、今日が終わっても凛は約束の場所に来なかった。翼はため息をつき、実家へと帰った。
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