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次の日になったが、翼は諦められていなかった。あの凛が約束を忘れるわけがないと思っていたからだった。そうだ。もしかしたら、日にちを間違えていたのかもしれない。そう思い、翼はまた桜の木へと向かった。その次の日も、またその次の日も。翼は自分が馬鹿みたいなことをしていると気づいていた。五年も連絡がつかなかったのに現れるわけなんてない。五年も前の話なんてもう昔話みたいなものなのに。ただ、凛と交わした約束だったから。翼はあの日の約束を信じて、ただひたすらに凛を待っていた。
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