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最近、孝太郎の帰りが遅い。
要はそのことに不安を募らせていた。
どこにいるの?何してるの?なんて問い詰めたくなってしまうが、鬱陶しがられるんじゃないかと思うと怖くて訊けなくて。
今日もとっくに支度の出来ている夕飯をテーブルに並べて頬杖をついていた。
溜め息ばかりがこぼれる。
すると玄関のドアが開く音がして要はパタパタとスリッパの音を響かせて玄関に向かった。
「孝太郎、お帰り」
「要、ただいま」
孝太郎にぎゅっと抱きしめられる。
孝太郎は優しい、態度も変わっていない。それなのに何故?
「遅かったね?」
「ん、ちょっと残業」
本当だろうか…要が不安げに瞳を揺らす。
本当は女性といたんじゃ…なんてそんなことを考えてしまう。
でも孝太郎の体からは女性ものの香水の匂いなんかもしなくて。
要はますます不思議で仕方がなくなる。
「ご飯出来てるよ。食べよ?」
「ああ、ありがとう」
孝太郎がネクタイを外してシャツのボタンを開けながら食卓に着いた。
いつもと変わらない孝太郎が、今日会社であったことなんかを話してくる。
孝太郎、本当はどこに行ってたの?残業なんて本当なの?
要はそれを訊いてしまいたくてたまらなくなる。
でも訊けない。疑っているなんて思われたくなかったから。
お風呂に入って二人はベッドに入った。
孝太郎がぎゅっと抱きしめてくる。
「要、愛してる」
「ん、俺も…孝太郎」
本当に?本当に孝太郎は俺のこと愛してくれてる?
わからなくなっちゃったよ、孝太郎。
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