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思わず口にした私に、姉はまたくすっと笑ってから「やっぱり」と呟いて、
「いいよ。もうちょっと大人になったら、お姉ちゃんがあけてあげる」
と快諾した。
大人になったら、っていつだろう? と思ったけれど、何より了解をもらえたのが嬉しくて、
「じゃあ、おねえちゃんと同じがいい! 両方にいっこずつじゃなくて、右にふたつ!」
はつらつとお願いする。
これは後から知った話なのだが、男性の左耳ピアスはより男性らしさを、女性の右耳ピアスはより女性らしさを強調し、それぞれ反対になると同性愛を意味するんだとか。
そんなところまで気にする人はそうそういないと思うが、姉は博識だったので、この豆知識についても知っていた可能性はある。
でもどうせふたつあけるなら、どうして両耳にひとつずつじゃなくて、片耳にしたのか。コーディネートを楽しみたかったのか。何か姉なりに他のこだわりや事情があったのか――その真相は、もう聞けない。
「やくそくだからねっ!」
息巻いて小指を差し出すと、姉も「はいはい」なんて言いながら、自分の小指を絡める。
すると、
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