6人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
当時の私は、そんなふうに生意気なことを考えていた。
それから私は毎日、自分の勉強机にある卓上カレンダーに✓をつけながら約束の日を待った。
姉にピアスをあけてもらう日は、私が大人になる日。大人だって認められる日。
楽しみでしかたなかった。
でも、一年経っても二年経っても、その日はやってこなくて。
どうしてなんだろうと思い始めた頃、日本の成人年齢が二十歳であることを知って、一度は納得した。
そういうことか、と。もともと「大人になったら」って言われていたし、姉は約束を破るような人じゃない。
そう納得した、はずだった。だけど私だって、いつまでも純粋な子供じゃない。
カレンダーの✓はいつの間にかつけなくなったし、高校生になって周りの友だちが平気であけているのを見ると、どんどん不満がつのっていった。
たまりかねて、高校最初のお盆に、
「ねぇお姉ちゃん。私のピアスあけるって約束、忘れてないよね? いつになったらやってくれるの?」
帰省していた姉にそう訴えかけたこともあったが、
「忘れてないわよ。でも、涼音の高校、そこまで校則緩くないでしょ?」
最初のコメントを投稿しよう!