二人しかいない兄妹

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 妹のことだ。やっぱり堀越朱莉。俺の妹のことだ。  二人は飲み物を飲み切ったのか自販機横にあるゴミ箱に捨ててた。自販機から離れ雪の中を歩き始める。 「私なんか朱莉ちゃんやあの子たちと部活もクラスも一緒だし、一日中修羅場を見ているようだよ」 「おつかれ、いつでも話聞くよ」 「ほんと、堀越さんってこれからどうするんだろうね」  二人は遠のいていく。もうタイヤを触る仕草をする必要はないと俺は立ち上がった。正直確かめるために自転車を置き去りにしてでも話を聞きたかったが、やめた。  去年から朱莉は何か思い詰めた様子だった。兄に話したかったことってまさかこれのことだったのか。また毎年のように人間関係に悩んでいたのか。  困った妹だ。いつまで手がかかるんだ。俺は朱莉の問題に対して、朱莉側からのことを聞かないまま、知識が少ないまま判断しようとしていた。  朱莉の人間関係問題について考えながら雪の中を帰っていった。朱莉のことを考えることも久しぶりだが、こんな時間も無駄でしょうがないのでやめたい。一体昔からどれだけの時間を朱莉のために使ってきたんだ。話を聞く、心配、相談、アドバイス。考えればキリがない。今日も授業で疲れたというのに。  家に着き、朱莉の自転車がまだないことに気がついた。よかった。親は二人とも仕事中でいなかった。いつものことだ。一応親にも言ったほうがいいだろうか。いや、何で俺から言わなきゃいけないんだ。朱莉、自分から言えよ。いつも問題が起きたら親には言わないんだから……その代わり俺に役目が回ってくるんだ。  部屋に入りベッドに倒れ込む。このまま寝てしまいたい。そういえばサークルの飲み会の件で服部に返事しないといけないんだった。電話だけして仮眠でも取るか。ベッドに投げたリュックサックからスマホを取り出して服部に電話をかけた。俺の今日のやることはこれでおしまい。  服部にはすぐつながった。
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