偽善者

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「どういう……こと? 最低な人間って……。さすがに自分でそんなこというのは……」  あんまりだって? 違うんじゃないかって? 本当なんだよ北野。わかってくれないから教えてやるよ。  鋭い声が、言葉を断ち切った。 「妹が死んだのは、他でもない俺のせいだ」  なんて言えば事実が伝わるだろう。 「朱莉は俺にばかり相談するやつだった。でもあの時冷たくして、俺が怒って、朱莉は相談さえできなくなった」  あれ、何で俺こんなことを他人に話しているんだろう。頑張って隠し通してきたことなのに。 「それから何も言ってこなくなって、結局俺は最後の助けにもまともに応じなくて」  ……まあいいか、こいつに話しても。 「妹は自殺した」
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