ペン入れ

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ある日、いつものように予備校に向かうと、 予備校前の路地裏から、声が聞こえた。 狭い場所で対峙していたのは、 かつて私をBクラスへと追いやり、 今はBクラスへと落とされた男たち。 それから、ひーちゃんだった。 歩きながら、彼女と目が合う。 私はすぐに目をそらし、少し進んだところで立ち止まった。 「下手な俺たちを見下してるんだろ」 「先生に気に入られて、いい気になりやがって」 彼女に対する罵倒が耳に入る。 そこからは、胸が痛くなる罵詈雑言の連続。 自分に向けられた言葉でもないのに、 勝手に同情して傷ついて、何もできずに立ちすくんでいた。 放っておきたくなかったけど、 足は動かずに彼女の元に、引き返すことはできなかった。 その日、彼女は予備校を休んだ。
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