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次の日も、その次の日も、心のモヤモヤは消えてくれなかった。
ここ数日、予備校を休んでしまったから、今日は行くことにする。
先日のこともあり、彼女には正直会いたくない。
だけど当たり前に、教室にはその姿があった。
遠くから手を振られ、軽く会釈で返す。
そっけないのは自覚しているがこれが限界だ。
相変わらず、彼女の絵は先生から絶賛されていた。
みんなもその存在を感じていたはずだ。
なのに、誰も彼女の絵に注目しない。
彼女の絵は圧倒的すぎたからだ。
その絵の前では、誰もが自分の実力のなさを思い知らされる。
自己肯定感は守ってくれない。
そんな絵を見るのは苦痛だった。
私は日に日に、真白なキャンバスに向かうのが怖くなった。
自分の課題を見据えて、完成を想像するのだが、
頭の中でさえ彼女の絵を超えることはできない。
想像できないものを描けるはずがなかった。
次第に彼女の絵に対して、嫌悪感が大きくなる。
それに反比例するように、
彼女の居場所は小さくなっていたと思う。
みんなが、ひーちゃんのことを避けるようになっていたから。
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