夏の嘘

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「なんだかんだとか、そんなこんなとか、ざっくりしてるところ多くない?」 「細かいところまでは俺も知らねえもん。親父にそこまで詳しく訊いてないし、話してもくれないし。でも、とにかく離婚してからもたまに会ってんだよ」 「ちょっと待って、本当に?」 「別に信じなくてもいいって言っただろ?」 「いや、さすがに信じられないよ」 「だから別に信じなくてもいいって」 「でも、本当だとしたらすごいじゃん。教科書に載るくらいの人なんて」 「そうだよな。本当だとしたら、すごいよな」 「どういうこと?」 「だって嘘だもの」 「やっぱり」山口が笑った。 「そりゃ、そうだろ。ありえねえよ」 「だよね。知ってたよ」
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