夏の嘘

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「俺は知ってるぞ。だって、高校の時の同級生だからな」黒板に板書しながら村雨が言った。 「どうせ嘘でしょ?」山口が冷めた口調で言った。 「嘘に決まってんだろ。でも、なんでわかった?」 「先生、男子高出身だって言ってたじゃないですか」 「古々呼孝子が女だとは限らないだろ?」 「女ですよ。前にテレビ出てましたから」 「そうなの?」 「はい。普通のおばさんですよ」 「普通じゃないおばさんって、なんか嫌だけどな。普通でよかったよ」 「何をもって普通か普通じゃないかを判断するんですか?」 「俺の主観だよ」 「ごもっともです」
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