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「それは俺が言ったんじゃねえよ。先輩から聞いた話だよ」
「それに原田、英語赤点なんて取ってないじゃん。村雨が言ってたよ。受ける必要ないのに、補修を受けさせてくれって言ってきたって。本当は八十七点だったんでしょ」
「知らねえよ」
村雨を睨もうとしたが、すでに教室を出ていた。他の生徒たちはトイレに行ったり、突っ伏して眠っていたり、数人で談笑している。二人きりじゃないのに、ここだけ切り取られたみたいに、別の空間にいるみたいだった。顔が燃えるように熱いのに、目鼻口は凍り付いたみたいに動かない。補修は終わったのでもう帰れるのに、椅子に深く座り直し、シャーペンを回したが、失敗して机の下に落とした。
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