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「あっ」
思わず声が出る。手を伸ばす。拾って顔を上げたら、山口と目が合った。
「古々呼孝子ってさ、俺の母親なんだ」
「何それ?」
「嘘みたいだろ?」
「てか、嘘でしょ?」
「それが本当なんだよ」
「マジで? いやいや嘘でしょ」
「まあ、信じないならいいけど。俺が父子家庭なのは知ってるだろ?」
「それは知ってるけど」
「親父の大学の同期なんだよ。古々呼孝子って。あだ名がコッコだったから、『ここここうこ』ってペンネームにしたらしいんだけどな。んで、卒業と同時に結婚して、俺を産んだんだけど、なんだかんだで離婚して、そんなこんなで作家になったらしいんだよ」
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