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それから、僕は喫茶店を引き継ぎ、マスターになった。ただ、コーヒーマンとしてはまだまだ発展途上だった為、マスターに教えてもらいながら、いちからコーヒーのことを学んだ。待っているだけでは、客は来ない。デリバリーを始めて、新規の集客を狙った。新しいことにもチャレンジした。
常連客の皆さんも協力してくれて、中には資金を融資してくださる方もいた。
「私はもう、歳だから。墓場には金を持っていけないしねぇ」
そんな冗談を言いながら、未熟な僕を支えてくれた。僕は、元町の人たちや常連客の皆さん、マスターに育ててもらいながら、なんとか店をやり繰りした。無理をしすぎて、過労で倒れたこともあった。そんな僕を心配して、明音さん……マスターの娘さん……が毎日のようにお見舞いに来てくれたこともあった。そんな明音さんが健気で、いつの間にか、明音さんが僕の心を癒す存在になっていた。
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