プロローグ

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プロローグ

 高校一年生の冬。  今年の冬は一段と寒かった。冷たい風が、肌に刺さるよう吹いている。ほんの少し息を吐くだけで、顔の前が白く濁り、遠い空へと消えていった。 蘭月麦(あららきつむぎ)は幼馴染の松林陸(まつばやしりく)とクリスマスを一緒に過ごしていた。  「ねぇ、月麦?」  「うん?」  「僕、」  陸はそう言うと、息をたくさん吸い込んで言った。  「すごく楽しい!!」      うん。知ってるよ。  月麦は思ったが、それを言わずに、  「それは良かった!」  と言い、にっこりと微笑んだ。
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