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プロローグ
「優人に会いに来たの」
「は?」
優人は元カノの結愛と別れて半年、特に変わりなく友人の平田と海の近くのマンションでルームシェアをしていた。
もう一度言うが、別れて半年。さよならをしたはずなのだ。
──なのに、何故ここにいる?
「よう、元カノちゃん」
優人の後ろを通り過ぎようとした平田が、軽く結愛に向かって片手をあげた。
優人に対し、
『学ばないねえ』
と呆れ声で耳打ちしそのままキッチンへ。
「いや、待て! 俺が悪いのか⁈」
と平田の方へ身体を向けるが、
「そんな大きな声をだしたら、ご近所迷惑ですよー」
と陽気な声が返ってくる。
──覚えてろよ! 平田。
「で、何故来た?」
「優人が言ったんだよ? 半年後、恋人が居なかったら会っても良いって」
「俺、そんなこと言ったか?」
必死に宥めすかして説得した記憶はあるものの、そんなことを言った覚えはない。思い込みの激しい彼女のことだ、きっと何かを湾曲して覚えているに違いない。
──嘘だろ?
二人の二度目の恋が始まろうとしていた。
何度でも恋をする。
世界で一番愛しい君と。
これは元カノの結愛に振り回されていた優人が、やっと彼女と断絶した半年後の話しである。
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