志緒さんの手紙 side 創

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志緒さんの手紙 side 創

創くんへ  今さら手紙を書くのは、何となく恥ずかしいです。でも、今の私の気持ちを知って欲しくて……。 お土産と一緒に渡します。 イタリアで食べたスイーツを創くんと一緒に食べたかった。 ドイツのザッハトルテも。 旅行中、そんなことを考えていました。創くんの笑顔とスイーツ愛を色んな風景を見ながら、思い出していました。 何だかくすぐったい気分になりました。 私は、本場のオペラを鑑賞したくてやって来たはずなのに…。変ですよね。 トレビの泉、ドゥオーモ大聖堂広場もすごく楽しみにして来たはずなのに…。 この景色の中に創くんの笑顔を結びつけて探してしまいます。そして、この景色の中に、創くんがいたらって…。 “好き”っていう思いなのかどうかは、はっきりしないのだけれど。 私の中には、創くんの優しさ、思いやりがはっきりあります。 私の声に感動してくれて、少し興奮気味に感想を言ってくれた創くんの言葉に、私は、勇気づけられました。 本当に、あの時、創くんに会っていなければ、今の自分に繋がっていなかったんだと思います。 だから……。 これからも、近くで見守ってくれますか? 都合の良いことばかりを書きました。 でも、創くんには、今の私の気持ちを知っていてほしいと思ったんです。まだ、自分に自信がありません。やれるところ迄、やってみたい。それらを創くんには、見ていて欲しいんです。もし、良かったら…ですけど…。 これからも宜しくお願いします。 追伸 お土産、美味しいですよ。          志緒
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