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俺は病院の中庭にやってきた。
直緒さんから、昼は必ず散歩すると聞いたから…。
すると、澪緒さんが航くんをベビーカーに乗せ、志緒さんと共にやってきた。
「こんにちは。大高さん!」澪緒さんが俺に挨拶すると、航くんを見つめていた志緒さんが顔を上げた。
「……。えっと、あなたはお兄ちゃんといた…人?」
「はい、大高創です。」
「お兄ちゃん……とは…?」
「直緒さんとは、最近知り合いました。」
「そうですか……。」まだ、志緒さんの表情はかたい。
「お姉ちゃん、創さんはね?私が妊娠中に、スイーツを差し入れしてくれたんだよ?とっても美味しくて……。」
「あっ、お菓子屋さんですか?」
“お菓子屋さん……。”この言葉を聞いて、澪緒さんが苦笑いした。
まだまだ、覚え直さないといけない言葉があるようだった。
でも、航くんを見つめる瞳は、優しさに溢れている。生徒たちに接していた時の表情だった。
「あのっ…、“志緒さん”って呼んでもいいですか?」
「あっ……。はい…。」小さく答えた。
「澪緒さん、志緒さん、航くん、また、来ます……。それから、これっ、皆さんでどうぞ。」
澪緒さんに包みを渡し、その場を後にした。
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