新年度 side 理人

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新年度 side 理人

『始まったか……。』 自然に、呟いていた。 『切り替えないとな。』 俺は、また、なんとなく呟いていた。 部活のみだった、春休みが終わり、新年度が始まる。 社会人2年目。 教師生活2年目。 何事も試される、2年目……。 『淡々とできることをやるしかないよな。』自分に言い聞かせる。 『後輩も出来てしまったし。一番下っぱって、気楽だったんだけどな。担任かぁ。何から、やればいいんだろう。 幸い、2年生。生徒たちの方が、段取り、知っていそうだな。任せよう。うん。』 そんなことを考えて参加していた、新任式だった。 そして、学年所属と学級担任、教科担当、部活動担当の発表。織笠教頭の良く通る声で生徒へ伝えられる。 『どんなリアクション??嫌がってないよな?』 『壇上から、生徒の反応を観察する。 なんだか、2年2組、微妙な反応?かっ??』 紹介が終わり降壇。 『ふぅ。』 気合いを入れて、2年2組の教室へ。 まずは、これからの準備活動の連絡。 そして、HR。 明日の連絡をし、今日が終わる……。 もうこんな時間か……。帰るか。 その時、大高先生が、勢い良く、走り出した。 『 ? 』 しばらくすると、職員室へ戻ってきた。 「はぁー。」 盛大なため息。 廊下での中村先生とのやりとりを話し始めた大高先生。 『なるほど。歌声に、やられたかぁ。でも、俺もファンではある。あの歌声で、出し方を変えて歌い分けてしまう、志緒先生のカラオケも大好きだし……。』 大型犬だったら、尻尾がブンブン動いていそうな状態が、一気にショボンと耳が垂れていく様子に変わっていくような感じになる。 あまりにシュンとしていたので、昨年のいきさつをざっくり教えた。 すると、さらに黙り……。 「完全にパワハラじゃ、ないですか?」 と、怒りがこもった声で、そういうと、説明した俺に向かい、 「お疲れ様でした。帰ります。」 と言って職員室を後にした。 『なんかなぁ。』 大高先生の反応に、若干、戸惑う俺。 『もしかして…?、ライバル……。増えたのか?』 複雑な気持ちが、渦巻いた。
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