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女子会 その1
新学期が始まり20日余り。
只今、会食中。
気の合う仲間との女子会は、やはり楽しい。
3月に転勤された先生と話ながら、転勤先の話を聞いていた。
所属学年とか新しい職場の人間関係等。
たった20日位で、中身の濃い話が……。
そんな中で、新しく来た先生方について聞かれいる。泉莉子先生が、聞かれるままに、二人に向かって答えている。
「新卒の社会の大高先生は、人当たりは、よさそうですよ。それに、見た目もなかなかですね。好青年のイメージかな?ワンコ系イケメンって感じ??」
私の方を見て、小首をかしげる泉先生。同性ながら、少しドキッとする。
『可愛いすぎる……。』
聞き出しているのは、昨年度迄、同僚だった、小笠原環先生。あっ、小笠原じゃなかった、原環先生。
橘柚希先生と、二人は、同学年で、とても、気が合うらしい…。
因みに、環先生は、養護教諭。柚希先生は、保健体育。
環先生は、原先生と結婚したことで転勤の対象になった。
この仕事は同じ職場に夫婦で、勤務は、出来ない。結婚を機に、どちらかが異動になるのは、仕方がないこと。
旦那様は、本校の原良平先生。
保健体育の原先生は、柔道専門、柔道一筋。体格は、がっしりしている。でも、とても紳士的でよき兄貴分…。
頼りになるし、私もかなり助けられている。
原夫妻は、年の差カップル。
環先生は26歳。良平先生は35歳だ。
「良平から、聞いてるよ~?ワンコ系好青年の話……。」
と環先生が、ニヤニヤして、私をじぃーと見つめる。
『何?』
「志緒ちゃん、なんかあったの?」
と柚希先生。
「特に、何も……。」
「あれっ??良平の見間違いかなぁ?」
「えーっ?何々?」と、泉ちゃん。
『何で?お姉さま方につっこまれてるの?私…?』
感情が顔に出ないように、取り繕うように、ビールを口にする。
さらに、泉ちゃんも、じーっと見つめて来た。
『何なの?いったい。』
「何か、あるんですか?」
とあえて聞いてみる。
すると、
「なんか、入学式の日、志緒ちゃん、名前の通り、塩対応だったらしいじゃん?(笑)」
かなり速いペースで飲み、だいぶ酔っている感じの環先生。声のボリュームも高くなっている。
「良平が、見たらしいよ!」
『あっ!!あの時……。』
帰り支度のあのやりとり……?
『見られてた?』
何となく思い出し、下を向き、焼き鳥の串を外す。
「心辺り、あるの?」
柚希先生が、私の顔を覗きこむ。
「あった、ような……、ない、ような?」
「佐々木くんが言ってたこと?」と泉ちゃん。
『えっ?でも、なんで、泉ちゃんが、知ってるの?』
「「何々?」」
と、お姉さま方が同じタイミングで突っ込んできた。
「志緒ちゃんの歌に感動した、大高さんが、わざわざ廊下にダッシュして、話しかけた時の志緒ちゃんのリアクション?」
「「……。」」数秒間の沈黙。
「まだ、辛い?」
「何かあったら、良平を頼っていいからね?」
2人とも、心配してくれているのが、伝わってくる。
私のメンタルは、この二人の先輩、良平先生、佐々木くん、泉ちゃんに支えられている。なんど、感謝しても全然足りないくらいだ。
ありがたいと思う。
だから、
「もう、大丈夫ですよ?」
とおどけて、答える。
この後、大高くんの話題には一切触れず、女子会がすすんだ。
そして、愛妻環さんを、良平先生がお迎えに。
お開きとなった。
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