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それは……と言いかけた三条も、確かに先野の言う通りなのだろうと、理性では疑う余地はどこにもないとわかっている。
「……そうですね。わたしも調査を引き継いで進めます」
「頼む。とりあえず、ハラショーのつかんだ情報を共有しよう」
施工に原因があるのだろうか――。
三条愛美はそこに疑問を感じた。部屋のいたるところに発生しているシミは、雨水が浸透してきたかららしいのだが。
翌日現地に出向き、根賀邸の立地を見てみると、その土地だけが周囲よりやや低くなっているのがわかった。大雨が降ればたちまち周囲が水に浸かるだろう。
この辺りはまだ住宅開発が始まったばかりと見えて、やたらと空地が目に付く。
三条は、照りつける太陽を背中に、雑草が鬱蒼と生えている土地を見わたす。
(耕作放棄地だろうか……)
蒸し暑い空気が地面から湧き出ているようだった。
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