ピンチヒッター三条愛美

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 その夜、三条は依頼者の根賀に電話を入れた。 「明日、時間は取れますか?」 「ああ、先日来てくださった若い探偵さんの代わりに調査をしてくださっているかたですね」 「はい、恐れ入りますが、わたしもお宅を拝見したいんです」 「なにかわかったんですか?」  三条の気迫を感じ取ったのか、根賀は電話口で勢い込む。勢いついでに激しく咳き込んだ。  だいじょうぶですか、と気遣ってしまうほど。  最近、咳が止まらなくて……と、根賀。 「まだ原因にたどり着いてはいません。しかし確認したいことがあるんです」 「わかりました。明日は土曜で仕事が休みですので、いつ来ていただいてもかまいませんよ」 「ありがとうございます」  訪問時間を決めて、電話を切った。しかし、それが根賀と会話をした最後となったのである。
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