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「同感です」
現場から戻っていた三条愛美はうなずいた。火事が消し止められたあと、周辺の人に「根賀さんはどこに避難しているか知っていますか」と聞いて回っていた。しかし誰も知らず、ネットニュースで子細を知ったのだった。
徒労感が激しかった。
「火事の原因はなんだったんだろう」
「わたしもよくは知りません」
「根賀さんが絶望のあまり放火した……としたら、あまりに救いがなさすぎる。そうではないと思いたいが……。ともかく……あれだけ関係者が亡くなっていたら、真実にたどり着くのは並大抵ではなかったし、もしかしたら調査を続けていても暗礁に乗り上げて真実はわからずじまいだったかもしれない。根賀さんにしてみればがっかりだろうな」
「あの……ちょっといいでしょうか……」
「なんだい?」
先野はどっと疲れが出たように息を吐く。
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