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「仮にそうだったとしてもだよ、おれたちは欠陥住宅の原因を突き止めるのが仕事だ。怨念が人を殺しても、欠陥住宅が建てられた理由にはならないし、関連性はなかろう」
そこは切り離して考えないと、と話を切った。
もはや確かめる術もないのだが、原田が撮ったあの写真に移っていたシミは、カビや漏水ではなく、斬首された罪人の血ではなかったのかと、三条は思ってしまうのだった。家鳴りにしても、あれは苦しむ人間の声かもしれない。
さすがにそこまで主張する気にはならなかったが、そんなことを想像すると、もういっそのことそのデータは消してしまったほうがいいかもしれないと思わないでもなかった。
☆
翌日、原田翔太は退院した。意外と元気であった。
「すみませんでした。今日から復帰です」
事務所に戻ってきた原田は、先野と、代わりにサブに入っていた三条に言った。
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