13人が本棚に入れています
本棚に追加
「具合はどうなの?」
三条が尋ねる。
「はい、体調はもどりました。熱中症をなめていました」
(本当に熱中症なのだろうか。医者の診断なのだから確かに熱中症なのだろう。でも熱中症になってしまったのは――)
いや、と三条は内心かぶりを振る。
(根賀さんが咳に苦しんでいたのもただの偶然だ)
そう思い込むことにした。
「今回の案件は、もう片付いたんですか……」
退院前に原田は調査中止になったと聞いていた。
「そうだよ。不幸なことに依頼者が亡くなった。だからこれ以上の調査は必要なくなったわけだ。それを片付いたと言えるかどうか、というのはあるけどな」
先野は不可抗力による契約不履行である、と言った。
「でも原因が突き止められなかったのは残念ですね。気になるところだったのに」
最初のコメントを投稿しよう!