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「問題の家も全焼してしまったからな。もう調べられやしない。当分、あの土地に家は建たないだろう」
(建たないに越したことはないだろうな)
と、三条は思っている。建てば、またなにか問題が出てくるような気がした。
あの、いわくつきの土地。あの土地が持つ「呪い」など、正直信じたくはないが、客観的にそう判断できるといえるのではないか――。
原田が特定できなかった施工職人も、実は多く亡くなっているかもしれない。それを思うと、呪いの根の深さは恐ろしいと感じる。災厄が自分にも降りかからない、とは限らない。
三条はしかし平然としている先野を見ると、そんなことで心を乱すのもバカらしいような気もするのだった。
すべては終わった。もうこの案件に関わることはないのだから、これ以上はなにも起こらない。そう強く思い込むことにした。
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