たどり着けなかった真実

7/8
前へ
/75ページ
次へ
   ☆  マネージャ硯山達護郎(すずりやまたつごろう)は、先野光介の報告書を読んでいた。  依頼者死亡のため調査が打ち切られた旨が書かれていた。が、それでも調査経過は詳細に記されていた。関係者がことごとく死亡していて、聞き込みが進まなかった……という点が気になった。  そんなことがあるだろうか。  死因も書かれていて、そこになんらかの関連性はない。しかしそれでも……とマネージャは眉を寄せる。その事実が逆に薄気味悪かった。ひょっとして、関わってはいけない案件なのかもしれない。部長が、なんとなく先野が担当者になることに乗り気でなかったように感じたが、あるいはこうなる予感があったのかもしれなかった。他の探偵に担当してもらったなら、依頼者が死ぬことはなかったのだろうか――。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加