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報告書に添付されていた写真を開いた。もう火事で燃えてしまってこの世にはない家の屋内写真。あちこちにシミが滲んでいて、汚かった。確かにこんな家では欠陥住宅だと苦情を訴えるのもわかる。
音声ファイルも開けてみた。
(なんだこれは……?)
家鳴りだというその音は、地獄の業火に焼かれる亡者が救けを求めている声のようにも聴こえて、不気味であった。
そういえば、このシミも、どこか苦しむ人間の顔に見えないこともない……。
(いかんいかん)
こんな報告書を読んでいるから、へんな気分になってくるのだろう。
マネージャはさっさとファイルを閉じると、別の案件の処理に移った。
が、さっきの写真と音声がなかなか頭から離れなかった。
【マイホーム・レクイエム】(了)
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