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マネージャ硯山達護郎
興信所「新・土井エージェント」には一人のマネージャがいた。
百八十センチの長身だががっちりとはしておらず、細身である。立てた髪の毛を気分によって染め替え、アイシャドーと口紅は欠かさない。もちろん濃すぎる髭はきちんと剃っているが、剃り跡も青く、脱毛をしないのかと誰もが思うがそこにはこだわりがあるようだった。今日はシトラスの香のアフターシェーブローションを選んだ彼の名は、硯山達護朗。四十二歳、乙女座生まれである。
とても普通の事務所で働いているようには見えないその見た目は異彩を放っていたが、管理職としては優秀であった。
所属している三十人あまりの探偵のスケジュールをすべて把握し、数時間ごとに変更されていく案件の進捗状況に合わせて適正に人員配分を行って成果を出せるようにするのが主な仕事であった。
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