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「んんっ……」
どさり、と床に荷物が放られる音がすると同時に、後ろから抱き締められた。そして、無理矢理顎を取られて唇が塞がれる。
熱い舌が、味わうみたいに成海のくちのなかを舐める。
特に入念に舌を舐められ、じゅ、と音を立てて吸われて膝から緩やかに力が抜けていく。
このまま床に崩れ落ちてしまうかと思ったけれど、腰に回された逞しい腕に抱きとめられた。
さっきまでの彼が醸し出していた空気は部屋に入った途端霧散していて、くちを貪られながら爽やかな後輩を探してみたところで、どこにも見当たらなかった。肉食獣のように激しい気配に気付いたところで、成海はもうその男の熱い腕の中に捕らえられていた。
とろとろに溶けるまでくちのなかを舐め尽くされて、吸われたあと、ようやく唇が開放された。
「やっぱプリン、おいしいですね」
とても年下の男とは思えない、妖艶な表情を間近で見て、プリンを後で食べる、と言った黒川の意図を成海はようやく理解した。
「っ……」
理解したときには、大きな掌が着ていた練習着のTシャツの中に潜り込んで、成海の胸の先をきゅっと摘んだ。
「こんなに簡単に部屋に入れたらだめでしょ? それとも、やっぱり俺だから? 俺だから入れてくれたんですよね」
嬉しい、と整った顔をより甘く見せている、僅かにだけ垂れた目尻で黒川はふにゃりと成海を覗き込んで笑う。
その甘い表情をされると、成海は途端に何もかも拒めなくなってしまう。
思わず抵抗の手を止めると、摘んだ胸の先を人差し指で転がすように弾かれた。
「んぁ……っ」
成海の反応に、黒川は耳元ではぁ、と吐息を漏らす。
「めっちゃかわい……乳首いじられるの、すげぇすきだもんね。目がとろーんってしちゃうの気付いてた? 真面目な成海さんがえっちに顔すんの、ほんとたまんない」
うっとり酩酊しているような黒川の声。
「ひ……やめっ……っ」
大きな掌が体のあちこちを撫で回す。
「ねぇ、もっかいやらせてよ、成海さん……成海さんのなか、気持ちよくてわすれらんない……挿れさせて……挿れたい……」
耳の中にぬるぬるの舌を挿れられて、うんと甘い声で口説かれる。
「ばっ……ばかっ……だから一回だけって……んんっ」
絡みつく彼の腕を引き剥がそうとしても、少しも距離を空けることができないのは、黒川の力が強いからなのか、それとも成海が本気で拒めないからなのか。
「ばかは成海さんだよ。俺は一回だけ、なんて約束してない。成海さんが言っただけだよね? ほんと、頭イイのにばかなんだから」
「黒川っ……レポート……っ」
そういえば、レポートを口実にこいつは部屋に入ったんだと成海は思い出して、どろどろに溶けそうな脳みそで絞り出すように言った。
「レポートはとっくに提出してて、成海さんのお陰で無事A判定もらえたよ。ありがとね、成海さん」
いたずらを打ち明ける子供のような声で打ち明けられる。
「はぁ?! お前、質問って……っ」
思わず後ろを振り返った。
「ふは。そんなの口実に決まってるでしょ。もー、ほんとにちょろくて心配になっちゃうな。他の奴はそんなこと言ってきても部屋に上げちゃだめだよ?」
そう言って、小さな部屋のベッドに黒川は座ると成海を膝に乗せた。
「俺に見られて、お腹撫でられて、熱くなっちゃったくせに……」
熱い掌が再び緩い練習着の中に潜り、下腹を撫で回す。
「ひ……っ」
逃げようとすると身を攀じると、ぐっ、と押さえつけられると熱いものが押し当てられた。
「挿れさせてよ……成海さんとえっちしたい。成海さん可愛いから、苦しいよ……」
そう言ってぎゅうっと苦しいくらいに抱き締められると、ぴったりくっついた背中に、驚くほど速い黒川の鼓動を感じた。
どくどくどく……激しく脈打つ鼓動と、びっくりするほど熱い体が黒川の気持ちをそのまま表しているみたいで、
はぁはぁと熱くて甘い吐息を溢しながら、狂おしく掌が体のあちこちを撫で回す。
「や……っ、あ……、ん……っ」
きゅうっと胸の先を摘まれて、ハーフパンツの中に大きな手が入ってくる。
ぐじゅっ……とひどくいやらしい音がして大きな手に性器が包まれた。
「あぁっ……ん」
気持ち良すぎて高い声が漏れてしまう。
「あーほんと、成海さんの声めちゃめちゃ可愛い……こんなやらしい声、俺みたいなのに聞かせたらダメだって言ったでしょ……」
そんなこと言ったって、勝手に出てきちゃう喉を焼くほど甘いものを抑える手立てなんてわかんない。
「あっ……あっ……ひ……ぃ……やだぁ」
黒川の長い指が、成海の先端からとろとろ溢れる体液を纏わせて、後孔に触れたのだ。
「成海さんのこの穴、ピンクですげぇ可愛いんだよね……」
恍惚とした黒川の声。指の先でくちゅくちゅと擽るように弄る。
「見たくなっちゃったから、脱がすね」
「は? え? だめっ」
慌てて成海が止めたのに、構うことなくハーフパンツが下着ごと脱がされ、体をベッドに転がされた。
「やだ……っ」
明るい部屋の中で大きく脚を開かされるなんて冗談じゃないのに、あっという間に膝裏を取られて、赤ちゃんのおむつ替えみたいな体勢を取らされる。
「ふは。全部見えた♡」
そう言った黒川の顔も普段の凛々しい顔から想像できないくらい欲で溶けて上気している。
それなのに、ちっともだらしなくなんかなくて、野生の肉食獣みたいで、成海の思わず息を呑んだ。
「やだって言ってるのに……っ」
射るような熱い視線をとんでもないところに感じて、羞恥のあまり、じわりと涙か滲んだ。
「やっぱピンクでめっちゃ可愛い……すげぇ興奮する……」
「見な……でぇ……っ」
じっと熱い視線で貫かれて、体が恥ずかしいほど反応してしまう。
「あ……穴、ひくひくしてきちゃったね……中で気持ちよくなったこと、思い出してきた?」
「ばっ……ちがっ……」
「挿れられて、気持ちいいトコ擦られちゃうと、成海さん、ちんこからずっーと透明なのたらたら出しっぱなしになっちゃうんだよね。甘イキっていうの? あれ?」
「し…知らな……っ」
体の中の敏感なところを、気がおかしくなるほど擦られた記憶がフラッシュバックした。
「はは。成海さん、すご。思い出しちゃったの? めっちゃちんこの先から垂れてきた♡」
そう言って黒川は成海のベッドサイドのチェストを探って、とろりとした液の入ったボトルを取り出した。
「は? 何でそんなとこに……っ」
成海のチェストから、当然のように黒川がセックスのためのアイテムを取り出したことに成海は動揺した。
「この前えっちしたとき、ここに隠しておいたんです」
「ひ……っ」
便利でしょ?と黒川は言うと、ローションを纏わせた指でくるり、と後孔をなぞった。
もう片方の手では屹立を擦られると、膝裏を抑えられていた手は外れたのに、気持ち良すぎて脚を閉じることができなくなった。
つぷ、と中に指が潜る。
「ぁ…ん」
中の壁を探るように動く。
「ああっ……」
「ココ、成海さんの大好きなとこだね♡ ちゃんと覚えててえらいね。さすが成海さん。優秀」
中、見たいな……となにやら物騒なことを黒川は呟くと、もう一本指を挿れて、中で指を開いた。
「んんっ」
すると、中の熟れた粘膜まで顕になった。
「やば……とろっとろじゃん」
恍惚とした黒川の声。
「み……見ないでっ…見ないってばぁ……」
成海がそう言っても、黒川は熱に浮かされたように、成海に触れる指を止めない。
うっとりしたような熱視線を成海に向けて、中も屹立もぐちゃぐちゃに弄る。途中でたっぷり追加されたローションのせいで、もう何も考えることができない。
「可愛い……成海さん……っ……たまんない……」
「あ、あっ……んんっ……」
気持ち良すぎて、もう絶頂に達することしか成海が考えられなくなった頃。
突然ぴたり、と愛撫の手が止まった。
「あっ……なんでぇぇ……ぁっ」
前を擦り、中を掻き回す指が止まってしまったことを責めるような台詞を思わず口にしたことに焦って言葉を飲み込むが、黒川には成海の意図が伝わってしまったようで、黒川はそれはそれは嬉しそうに笑みを深めた。
「イかせて欲しかった? 成海さん?」
黒川の台詞に顔が熱くなったけど、直前のところまでこんなにトロトロにされて、焦らされる経験なんて成海にあるわけなんてなくて。
訳が分からなくなって思わずこくこく、と頷いた。
「じゃあ、俺の、挿れさせて。挿れさせてくれたら、イカせてあげる」
そう言って、黒川の熱いペニスがひたり、と散々弄られて柔らかく綻び始めた成海の後孔に当てられる。
「んんっ……」
まあるい切っ先がすっかり溶けた穴の入口に押し当てられているから、もうぬるっと先端が入って、入口が拡げられているような状況で強請られる。
「もう一回挿れさせちゃったら、もう成海さん、俺のもんだよね……っ? 後輩とエッチなことだけして、やり逃げなんて成海さんみたいな優しくて真面目な先輩はしないよね? 後輩とセックスしちゃうんだから、責任取って付き合ってくれるよね?」
「は? え? 」
それって普通逆の立場が言うもんじゃない?!俺の立場でもやり逃げになんの?!
動揺している成海を、かわいい、って言いながらすっかり溶けた目で黒川は見てくる。
整った男らしい顔を沢山の汗が伝っているのが、すぐ近くで見えた。
脅すようなことを言っているくせに、辛そうにはぁ、はぁと濡れた吐息が苦しそうだった。
「成海さん……っいいって言ってよ……っ」
濡れた瞳でねだられて、腹の奥がずくりと、疼いて、どうしようもなく、目の前のこの男が可愛く思えた。
成海は何も言わず、黒川の太い首筋に腕を回してぎゅっと抱き付いた。
「……っ成海さん……っずるい……っ」
ぎり、と黒川の奥歯を噛み締める音がして。
「ぅあ……っああっ」
一気に奥まで黒川の熱いものが入ってくる。
同時に狂ったように黒川の唇が顔中に落ちてくる。
「好き……成海さん……っ……好きなんですっ……」
綺麗な顔を歪ませて、必死な様子で成海に愛を乞う様子は、ピッチでどんな場面でもどこか余裕がある彼からは想像できなくて、挿し込まれたものに気が狂いそうになる。
「ね……成海さん……っお願い。俺と付き合ってよぉ……うん、って言って……っ……」
あの初めて抱かれた日と同じ。
甘い声で熱烈に付き合って、とねだられる。
「だ……だめ……ぇっ……ひ……っ」
ぴゅく、と精液を溢しながら断ると、頷かなかったことへのお仕置きというように濡れた屹立を大きな手でぐちゅぐちゅと扱いてくる。
「だめって言わないで……俺のこと、成海さんの彼氏にしてよ……好き……大好きです……っ真面目な成海さんがこんなになっちゃうの、見せるの俺だけにして……っ」
「あっ……あっ……やらぁ……」
「あー……可愛い……成海さん、舌しまえなくなっちゃったの?」
息が苦しくて、出てしまった舌もちゅるっ、と吸われる。
「だめ。もう、我慢出来ない……っ出してい?……出したい……っ」
黒川のものがひと際成海の中で大きく熱く膨れ上がった。それで熱くなった粘膜を擦られると、どうにかなりそうなくらい、気持ちよかった。
「やぁ……らめっ……」
止めてって、中には出さないでって、その年下とは思えない逞しい胸に腕を突いたのに。
「後で、俺が綺麗にしてあげるから……っ……ぅぁ……」
それが、嫌だから中に出されたくないのにって言葉に出来ないうちに、腹の奥深くに、ものすごく熱い体液がたっぷりと吐き出された。
「ああっ……っあつっ………」
あまりの熱さに、脳が痺れているところに、耳の中にとんでもなく艶めかしい吐息を流し込まれて、成海も絶頂に達した。
「は……っ……真面目な成海さんが、中に出されてイッちゃうとか、ほんと……もう……っ」
あぁ、くそっ……可愛すぎでしょ……ねぇ、お願い。俺と付き合って……成海さん……
黒川の声を耳の奥に残して、成海はそのまま意識を手放した。
薄れゆく意識のなかで、きつく絡みつく腕から逃れられそうにないことを感じながら。
いったんおわり☆
そのうち続き書きに来ますね♡
〜お知らせ〜
2018年頃エブリスタでも連載していたDomSubユニバースのお話『あなたのものにはなりたくない』ですが、『孤狼のSubは王に愛され跪く』と改題し、アルファポリスのBLレーベルであるアンダルシュ様より、書籍として出版されることになりました!
番外編含めまして全9万字ほどの作品でしたが、およそ倍の文量に加筆し、よりスリリングでセクシーな作品に仕上げることができたと思います。新しいエピソードをたっぷり加えたので、これまでこの作品を愛して下さり、何度も読んでいただいた方にも十分に楽しんでいただけると自信を持って言えます。既に読んで下さった方も、まだお読みになっていない方も、二人の物語を手に取って読んでいただけたら、この上なく嬉しいです。
9月12日出荷で首都圏の書店様には14日頃には並んでるかと思います。
詳しくはTwitterご覧ください😊
https://twitter.com/yuna_org?t=2_6pZqnmcU7zXaSbsF8mMg&s=09
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