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少年と連れ立っていたのはスーツを着た四十前後の男だった。廉太郎の勢いに不快感を露わにするが、威圧するように睨み付けると舌打ちを残して去っていった。
追いかけて淫行罪で警察に突き出すべきかと迷ったが、少年をラブホテルの前に放置するわけにもいかない。
声をかけたことで今後は改めてくれればいいのだが――そう願いながら廉太郎は少年に向き直る。
「君、怖かっただろう。もう大丈夫」
「なんも大丈夫じゃねーわ」
やや喰い気味に、少年の声が廉太郎の言葉を遮った。やけに鋭い瞳が廉太郎を睨みつけ、可愛らしい印象が一変する。
雄々しささえ感じる表情に、廉太郎は思わずたじろいでしまう。
「あんた、何してくれてんだよ」
「な、なにって」
「こちとら一週間ぶりにヤれると思って楽しみにしてたのによ」
「一週間⁉」
「はー、もう最悪。今から違う奴引っかけんのもめんどくせーし」
「待ちなさい、何を言って」
「あんたが相手してくれんの? ま、顔は男前だし悪くねーな。もうちょい髪長い方が好みだけど」
「ちょ、なに……っ」
「ふぅん? 体格も良いしケツもいい形してる。それに」
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