めでたし めでたし

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めでたし めでたし

 うえから、    ぼたもち(ごう)、    ちいさいほうの(かめ)、    おおきいほうの(かめ)、    こいぬのトントン  の、じゅんばん。  ひいらぎ(ちょう)の (みち)のまんなかを えがおで あるいていきます。  あるきながら、まっしろなトントンが ふわふわあたまを いきおいよく ぽーん!  ぼたもち(ごう)と (かめ)たちは くるくるくると 宙返(ちゅうがえ)り。  それから もとどおり トントンのあたまに のっかって、げんきよく あるいていきます。  なにより、いちばん てっぺんの ぼたもち(ごう)は、独楽(コマ)らしい すばらしい回転(かいてん)を みせつづけています。 「トントンさーん! まって! まって!」  うしろから、るりこちゃんが いっしょうけんめい はしって おいかけてきます。  トントンのあしどりは ぴらんぴらんとして そんなに いそいでいるふうではないのですが、なかなか おいつけないようです。  そんな るりこちゃんの うしろを みると、おや、ぎんやくんも きています。  るりこちゃんが おいかける こいぬのすがたを みて、ぼたもち(ごう)も いるのに きがついたのでしょうね。  がんばって はしる るりこちゃんにたいして、学生服(がくせいふく)の ぎんやくんは ごくかるい かけあしていどの そくどで はしっていきます。  そんな ぎんやくんの うしろを みると、おやおや、さきがけくんも きています。  ぎんやくんが そとへ でていったので、そこに ぼたもち(ごう)も いると きがついたのでしょうね。  おおきな さきがけくんは あしも たいそう ながいため、もう ほとんど あるいて したがっていきます。  まえから、    たのしい ぼたもち(ごう)たち、    ひっしの るりこちゃん、    れいせいな ぎんやくん、    のんびりしんがり さきがけくん  という じゅんばんです。  さあ、ひいらぎ(ちょう)の みんなも このぎょうれつに きがつきましたよ。  とくに、先頭(せんとう)の ぼたもち(ごう)たちが だいにんきです! 「みて! みて! こいぬが あたまで 独楽(コマ)まわししているよ。」 「(かめ)も 二匹(にひき) のってらぁ。こらぁ えんぎが いいじゃねぇか。」 「まあ、まあ、すごい! それに、とっても かわいいわ。なにか おひねり あげなくちゃ!」  どやどやと おくりものを かかえた ひとたちが るりこちゃんのもとへ あつまってきます。 「うちの 野菜(やさい)を もっていきな。さっき とってきた ばかりで しんせんだ。」 「もくらいさんが (たら)を もっていっただろう。この海老(えび)と (かい)も どうだ。(なつ)鱈鍋(たらなべ)も うめぇぞぉ。」 「そろそろ (こめ)を かいにくるころじゃなかった? これを あげるから (しめ)の おじやにでも しなさいな。」  おや、おや、るりこちゃんは びっくり、おどおどするばかり。  はしっているとき、こいぬの おしりしか みえていませんでしたから、どうして みんなが よろこんでいるのか ぜんぜん わからないのです。  それに、この細腕(ほそうで)では とても おくりものを もちきれそうにありません。  すぐに ぎんやくんと さきがけくんが おいついて、ぜんぶ もってあげました。  おくりものを いっぱい かかえたまま、ふたりは かおを みあわせます。 「こんなに たくさん。もくらいさんや トントン、(かめ)たち、ねこの とらじろうも よんで、みんなで たべよう。おとうさんも きっと よろこんでくれる。」 「すげえ、すげえ。こりゃ、とんだ たなから ぼたもち(ごう)だったな。」  このあいだに、てぶらの るりこちゃんは なんとか (ひと)だかりから だっします。  そして、とうとう ふわふわのこいぬを つかまえて ぎゅうっと たいせつに だきしめました。  るりこちゃんの むねに かおを うずめ、とっても しあわせそうな トントンのえがお。  そのあたまのうえから、ゆっくりと (かめ)が おりてきます。  おなかが すいたのでしょうか。じぶんたちで かってに きょうさくさんのうちへ かえっていくようです。  るりこちゃんの ひざのうえに、ぽとんと なにかが おちてきました。 「これは?」  とても ふるそうな ()独楽(コマ)です。  るりこちゃんは そっと ひろって、ふしぎそうに みつめました。
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