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ぼたもち号、とんでいく
きれいな ぎんやくんと、おおきくて かたほう はだしの さきがけくん。
ぽかんと くちを あけたまま、からだだけは きびんに はしって おいかけはじめました。
なにをって、ぼたもち号をです。
ぼたもち号は ほうき星みたいに、いまだ 空を はしりつづけているのです。
ひんやりした広間の むこうに、ちょっとした机が あり、金魚のおよぐ しかくい水槽が のっています。
あぶない! あたる! 水槽が われちゃうかも!
とおもいきや。
ぼたもち号は ここで はじめての着地を はたすのですが、なんとそれが 水槽の せまいせまい ふちだったものです。
まっすぐな ふちを まっすぐに はしり、ふたたび ぽーんと 空に とびだします。
あぶない! そのさきには ガラスをはめた引き戸が あります! こんどこそ われちゃうかも!
とおもいきや。
引き戸は あけっぱなしで、ぼたもち号は なんなく へやのなかへと すいこまれていきました。
かんぱついれず、ぎんやくんと さきがけくんも 靴をぬぎちらかし、どやどや あがりこみます。
ここからは 居間でした。
くろい着物の きょうさくさんが、さして おもしろくもなさそうに 新聞を よんでいます。
ぼたもち号は きょうさくさんの まえの 座卓を ぐりぐり かけまわったあと、また ぽーんと とびあがりました。
あぶない! きょうさくさんに あたります! ふたりが しこたま おこられちゃう!
ぎんやくんと さきがけくんは、きょうさくさんの 新聞紙の はしとはしを とっさに ぐっと つかみました!
ぼよよーん!
ぼたもち号は 新聞紙に はねかえされて、ひときわ おおきく とびあがりました。
天井まで とぶと、梁に おりたち、じゅうおうむじん、ねずみみたいに はしりまわります。
いったい どうしたことなのでしょう。
もはや 勝負とか、数を かぞえるとか、そういうおはなしでは なくなりました。
梁から おちて、台所を じゅうりんし、廊下へと とびだしていく ぼたもち号。
ぎんやくんと さきがけくんが きらきらした目で おいかけていきます。
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