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ぼたもち号に すけだちだ!
ああ、ぼたもち号!
もくらいさんは やさしくしてくれましたが、回転は よわくなっていくばかり。
ふらふら ゆれて、もう とんだり はねたりするちからは とても のこっていません。
「ぼたもち号。」
「ぼたもち号、はやく でてこい。」
建物の 内から 外から、ぼたもち号を よぶ声が きこえます。
いまも るりこちゃんのへやのまえで ぼたもち号が でてくるのを まっているのです。
ぎんやくんと さきがけくん。
かれらに みまもられることもなく、ぼたもち号は ひとりさびしく とまってしまうのでしょうか。
そんなときでした。
ぼたもち号に うっすらかぶさる ちいさな影が ありました。
ねこの とらじろう!
右隣の おだんご屋に すんでいる とらみたいなねこです。
もくらいさんの 鱈のにおいに さそわれたものでしょうか。
ぼたもち号の ふあんていな回転を、とらじろうは らんらんとひかる目で みつめます。
「にゃん にゃん にゃーん!」
と、おおきく ほえて、まえあしで、なんども なんども ビシビシ たたきはじめました!
すると、なんということでしょう!
とらじろうの まえあしが たいへんすばらしい回転を 独楽に あたえたのです!
ぼたもち号は みるみる げんきになり、もとどおり ピンと たちなおりました!
びゅーん! びゅーん!
ぼたもち号は また いきおいよく はねあがり、庭のほうへ とんでいきます。
庭には きょうさくさんが おりていました。
さっき いっていたとおり、足元には 大小二匹の 石亀が います。
きょうさくさんは 桶の水を 柄杓で チョロチョロ たらし、甲羅を ぬらしてやっているようです。
ですが、そんなに ねっしんというわけでもありません。
もくらいさんが かえったとみるや、さっさと かたづけて、また 居間へ もどっていきました。
ぼたもち号は ゆっくりと 亀たちに ちかづいていきます。
ならぶと みんな だいたい おなじおおきさです。
亀の のんびりしたうごきに ぼたもち号も おちついたものか、ふと そこに とどまりました。
そんな あたらしい なかまを みて、亀たちが にゅうーっと くびを のばします。
ちいさいほうの 亀が、まるいあたまを ぼたもち号の 一本足に さしむけました。
そこから ぐいと もちあげてみれば、ぼたもち号は ぽーんと とびあがります。
あっ。
ぼたもち号が ちいさいほうの亀の せなかの 甲羅に おりたちました!
そのまま くるくると げんきに まわりつづけています。
すると、つぎに おおきいほうの亀が、ちいさいほうの おなかの したに あたまを さしむけました。
そして、ぽーん!
ちいさいほうの亀と ぼたもち号は とびあがり、それぞれ みごとな 宙返り!
おおきいほうの亀の 甲羅に 着地しました!
うえから、
ぼたもち号、
ちいさいほうの亀、
おおきいほうの亀
の、じゅんばん。
もちろん、ぼたもち号は くるくると うれしそうに たのしそうに まわりつづけています。
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