16人が本棚に入れています
本棚に追加
めでたし めでたし
うえから、
ぼたもち号、
ちいさいほうの亀、
おおきいほうの亀、
こいぬのトントン
の、じゅんばん。
ひいらぎ町の 道のまんなかを えがおで あるいていきます。
あるきながら、まっしろなトントンが ふわふわあたまを いきおいよく ぽーん!
ぼたもち号と 亀たちは くるくるくると 宙返り。
それから もとどおり トントンのあたまに のっかって、げんきよく あるいていきます。
なにより、いちばん てっぺんの ぼたもち号は、独楽らしい すばらしい回転を みせつづけています。
「トントンさーん! まって! まって!」
うしろから、るりこちゃんが いっしょうけんめい はしって おいかけてきます。
トントンのあしどりは ぴらんぴらんとして そんなに いそいでいるふうではないのですが、なかなか おいつけないようです。
そんな るりこちゃんの うしろを みると、おや、ぎんやくんも きています。
るりこちゃんが おいかける こいぬのすがたを みて、ぼたもち号も いるのに きがついたのでしょうね。
がんばって はしる るりこちゃんにたいして、学生服の ぎんやくんは ごくかるい かけあしていどの そくどで はしっていきます。
そんな ぎんやくんの うしろを みると、おやおや、さきがけくんも きています。
ぎんやくんが そとへ でていったので、そこに ぼたもち号も いると きがついたのでしょうね。
おおきな さきがけくんは あしも たいそう ながいため、もう ほとんど あるいて したがっていきます。
まえから、
たのしい ぼたもち号たち、
ひっしの るりこちゃん、
れいせいな ぎんやくん、
のんびりしんがり さきがけくん
という じゅんばんです。
さあ、ひいらぎ町の みんなも このぎょうれつに きがつきましたよ。
とくに、先頭の ぼたもち号たちが だいにんきです!
「みて! みて! こいぬが あたまで 独楽まわししているよ。」
「亀も 二匹 のってらぁ。こらぁ えんぎが いいじゃねぇか。」
「まあ、まあ、すごい! それに、とっても かわいいわ。なにか おひねり あげなくちゃ!」
どやどやと おくりものを かかえた ひとたちが るりこちゃんのもとへ あつまってきます。
「うちの 野菜を もっていきな。さっき とってきた ばかりで しんせんだ。」
「もくらいさんが 鱈を もっていっただろう。この海老と 貝も どうだ。夏の鱈鍋も うめぇぞぉ。」
「そろそろ 米を かいにくるころじゃなかった? これを あげるから 〆の おじやにでも しなさいな。」
おや、おや、るりこちゃんは びっくり、おどおどするばかり。
はしっているとき、こいぬの おしりしか みえていませんでしたから、どうして みんなが よろこんでいるのか ぜんぜん わからないのです。
それに、この細腕では とても おくりものを もちきれそうにありません。
すぐに ぎんやくんと さきがけくんが おいついて、ぜんぶ もってあげました。
おくりものを いっぱい かかえたまま、ふたりは かおを みあわせます。
「こんなに たくさん。もくらいさんや トントン、亀たち、ねこの とらじろうも よんで、みんなで たべよう。おとうさんも きっと よろこんでくれる。」
「すげえ、すげえ。こりゃ、とんだ たなから ぼたもち号だったな。」
このあいだに、てぶらの るりこちゃんは なんとか 人だかりから だっします。
そして、とうとう ふわふわのこいぬを つかまえて ぎゅうっと たいせつに だきしめました。
るりこちゃんの むねに かおを うずめ、とっても しあわせそうな トントンのえがお。
そのあたまのうえから、ゆっくりと 亀が おりてきます。
おなかが すいたのでしょうか。じぶんたちで かってに きょうさくさんのうちへ かえっていくようです。
るりこちゃんの ひざのうえに、ぽとんと なにかが おちてきました。
「これは?」
とても ふるそうな 木の独楽です。
るりこちゃんは そっと ひろって、ふしぎそうに みつめました。
最初のコメントを投稿しよう!