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風神さんの愉快な笑い声が響き渡る。
「やっぱりヤツは期待を裏切らないな!」
しかし勝吉には、何がそんなにおかしいのか分からなかった。
むしろ、あの短時間でこれほどの推理を構築できることに感心さえしていた。
彼の推理は筋が通っていて、見た感じ矛盾もない。
それなのに、風神さんは相変わらず声を上げて笑っている。
「なかなかいい推理だな、と僕は思いますけど」
彼の推理は、まあ勝吉が意図した推理とは違っていたが、それでも十分納得してしまう内容である。
「いやあ、ね」彼は涙を拭くと、言う。「まさか、想像していた通りの返事が来るとは思わなかった。彼ならせいぜいありったけの知識を絞って、イギリス英語との相違くらいにしか目を向けないだろうな、なんて思っていたところなんだよ。まさか、そのままそれを解決編に持ってくるとは」
今更だが、そもそも勝吉自身イギリス英語の豆知識は知らなかった。
「さて、物語も盛り上がったところで、風神さんの推理も聞くとしましょうか」勝吉は挑戦的な視線を、目の前の天才へと向けた。「まあ、どうせ正解でしょうが」
忘れてはいけないのは、十分余りで推理を構築したゲラルドゥス翁もすごいが、この目の前の男はそれ以上だということである。
「いいだろう。ただ、奴と形式をそろえたいから、ボクもメールで回答してやる。エセ探偵の連絡先を教えてくれないか?」
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