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こんな奇跡みたいな再会をするとは思わなかった。
私の中に燻る気持ちが一気に溢れ出てくる。
これは、チャンスだと思う。
神様がくれた一回きりのチャンス。
私の女々しい想いをここで絶ち切りたい。
「あの、ね」
「はい」
「あの時は……高校卒業のときなんだけど……。あの時は本当にありがとう。とても嬉しかった。なのに、返事もしないでごめんなさい」
竹内くんは少し驚いたような顔をして、手を口元にあてて黙ってしまった。
私もそれ以上何も言えなくて、俯いてしまう。
感謝の気持ちを伝えたかった、ただそれだけなのだ。
そのことがずっと私の心を縛っていた。
あの時をやり直せたらいいなとずっと思っていた。
「先輩。俺、今でも先輩が好きです」
「えっ……」
「この返事は、今聞かせてもらってもいいですか?」
爪先から頭のてっぺんまで一気に体が火照るのがわかった。
心臓が飛び出そうなくらいドキンドキンと鼓動が速くなる。
まさかそんな、そんなことってある?
「私は……あの……。竹内くんのこと……好き……かもしれないです」
「かもしれない?」
私の答えに竹内くんは、ふふっと吹き出した。
「俺、また先輩を困らせちゃったみたいですね。ぜひ友達からお願いできますか?」
どこまでもイケメンな竹内くんに、私はただただ頷くしかなかった。
女々しい想いを絶ちきるはずだったのに、絶ちきれないどころか前よりも想いが増してきていることに気づかざるを得ない。
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