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その後私たちは、いろいろな話をした。
高校のときのあの子は本当に彼女ではなかったこと。
教室からテニスコートを見ていたこと。
テニスコートを見ていることに気づいていたこと。
第二ボタンはまだ大切に保管していること。
同じビルで働いていることをもう少し前から気付いていたこと。
いつ声をかけようか迷っていたこと。
あの時返事をしなかったことを後悔していたこと。
今はお互いお付き合いしている人がいないこと。
尽きることのない話に、私は幸せを感じていた。
これからもっと深くお互いを知っていけたらいいな、と竹内くんの笑顔を見ながら、素直にそう思った。
あの時の約束は十年越しの再会となって、竹内くんの爽やかな笑顔と共にキラキラ輝くものになった。
【END】
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