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彼女の存在に気づいてから、なんとなく竹内くんに軽口をたたけなくなった。
爽やかだね、とか、イケメンだね、なんて毎日のように浴びせていた私だったけど、それは先輩でありマネージャーである特権なだけであって、彼女にしてみればいい気持ちはしないかもしれない。
そう思ったから、ちょっと遠慮してしまった。
夏の大会は二回戦敗退というなんとも中途半端な結果だったけど、全員ベストを尽くしたし、私も一生懸命サポートした。
これで私のマネージャー生活も引退。
顧問や部長の挨拶を聞きながら、この3年間をぼんやり思い出してじわりと涙が浮かんだ。
後輩たちから記念品を渡され、一言ずつ声を掛けてくれるのがまた嬉しくて、鼻をずびずびすすりながら「ありがとう」と言うのが精一杯だった。
「先輩、たまには部活見に来てくださいね。先輩がいないと寂しくなっちゃいます」
最後にそう竹内くんが言ってくれたことだけ、よく覚えている。
社交辞令だとしても、素直に嬉しかった。
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