登校

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登校

 馬車の窓を開ける。  空は青く、風はサラサラと流れていて気持ちの良い朝だった。  鳥たちのさえずりに、私の心は明るくなった。 「スノー様、良い笑顔ですわね」  アルマは嬉しそうに言った。  学校に着くとアルマと仲の良い二人の男子が現れた。  商人の息子のユーク・プライスと、騎士の息子のジュリアス・ペリーだ。  二人はアルマが好きで、スノーのことは良く思っていない。ゲームの中ではアルマを助ける勇敢な若者だった。 「おはよう、アルマ様。スノー様とご一緒ですか?」  ユークが心配そうにアルマに訊ねた。 「おはようございます、ユーク様。スノー様は体調が戻られたようですわ」 「おはようございます、ユーク様、ジュリアス様」  ユークとジュリアスは微笑む私を見て、驚いた顔をした。 「さきほども微笑んでいらっしゃったんですよ」  アルマの言葉に、ユークとジュリアスはまじまじと私の顔を見ていった。 「まだ、具合が悪いのではありませんか?」 「まあ、失礼ですわね!?」  私が声を荒げると、ユークとジュリアスはため息をついた。 「それでこそ、スノー様です」 「……」  私はスノーって、そんなに態度が悪かったのかと思いがっかりした。 「皆様、急がないと授業が始まってしまいますわ」  アルマがそう言うと、ユークとジュリアスがアルマの後について歩き出した。  私もその後について歩き出す。 「今日の授業は、魔法の基礎練習でしたわね」  アルマが言った。 「魔法……使えるかしら?」  私が呟くとユークがぶっきらぼうに言った。 「スノー様の魔力はこの学校で、ずば抜けた一番でしょう? 皮肉ですか?」 「意地の悪いことを言わないでくださいませ、ユーク様。スノー様は病み上がりなのですから」  アルマはそう言って私をかばった。  私は参考書をパラパラとめくった。 「手のひらに意識を集中させて、各属性のイメージを高める、か。……やってみないと分からないわね」  私は三人のやや後方を歩きながら、これから初めて受ける魔法実習を想像し緊張していた。
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